「宇宙博2014」を先に訪れた友人から、写真を見せてもらった。興奮を抑えきれそうもない。これはひとりで行ったほうがよさそう。過去の自分を省みて、そう判断した。
ところがボクの宇宙好きを知ってか、後輩に誘われ一緒に行くことになった。ボクのちょっとした解説でも期待したらしい。
そんな暇はなかった。見るのに忙しすぎたし、いつまでも同じ展示にへばりついたりした(ごめんね)。
後輩をほうって、「宇宙博2014」で興奮したポイントを書き留めておく。
「いよいよ頭がおかしくなった(笑)」
まず、ボクのテンションは入口から急上昇した。アポロの飛行士がロケットに乗りこむとき渡った、LC-39A発射台の赤い通路が再現されている。けっこう精巧。最初から粋な演出じゃないか。
これを見た宇宙好きに、正気を保てというのはちと厳しい。映画『アポロ13』のワンシーンを思い出しながら、カッコつけて堂々渡った。早速、気分は宇宙飛行士。後輩が言った。
「まえからですけど、いよいよ頭がおかしくなった(笑)」
通りすぎようとして、金属片の展示ラベルを二度見した。
V2ミサイル。初めて宇宙へ行った人工物にして、ロケットの元祖。そう言うと聞こえはよいが、第二次世界大戦でナチスが開発し、ロンドンなどを爆撃した兵器だ。製造時には、過酷な労働で大勢が命を落とした。
もう何も残っていないと思っていたが、後世のロケットの部品とともに、無造作に置かれた欠片は何ともいえない。これが実際に戦争で使われたモノか分からなかったけれど、ボロボロのその様子は、当時の残虐な行いを物語っている気がする。戦争と宇宙開発は、切っても切り離せないことを思い出した。
固体ロケット燃料の推進薬。中央の空洞で推力パターンが決まる。その形は星型が多いと、本で読んだことはあった。実物を見たのは初めてだ。知っていることでも自分の眼で見て、「本当に星型だ」と確かめるのは、また別の感覚がある。
これに乗るのはちょっと……
アメリカ初の有人宇宙船「マーキュリー」。もっと大きなものを想像していた。実際に見てみると、「ちっちゃ!」という感想しか出てこない。見物客と大きさを比べてみてほしい。
こんな小さなカプセルで、地球を周回するのは怖くないか。当時の飛行士、すごいな。
マーキュリーの次の世代の宇宙船「ジェミニ」。マーキュリーよりずっと大きくなった。これなら怖くなさそうだし、乗る気になりそうだ。
前言撤回。狭い座席にふたり並んで、2週間も飛ぶという。なんて窮屈なんだろう。宇宙には行きたいけれど、これに乗るのはちょっと……(笑)。
ジェミニの横におもしろい機体があった。「アジェナ標的機」。アポロ以前、ドッキングの技術を得るために使われた。
この試験では、宇宙船が高速回転する事故がおきたという。飛行士たちは気を失いかけたが、のちに人類月面第一歩を踏む、ニール飛行士の手腕で危機を脱し、地球へ緊急帰還した。実物をまえに想像すると、ひどく恐ろしい。よく冷静な判断ができるなあと尊敬。
追記(2020-08-23):この事故は、2019年の映画『ファースト・マン』で詳細に描かれている。臨場感たっぷりで身震いした。2020年8月現在、Amazon Prime Video にて、プライム会員は無料で見られる。
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長くなってしまったので、つづきは第2稿にまわすことにしよう。