夜の旺角駅前にネオンの看板が光る

香港路地裏エナジー


香港を象徴する景色といえば、細く高く伸びる高層ビルやアパートだろう。無数の窓ガラスがならぶその景色は、画一的な集合体のようですこし怖い気もしてくる。

 しかしその一つひとつをよく見ると、各部屋にはすこしずつちがいがあり、個性がある。うだるような亜熱帯の気候とヒートアイランドの生温かい空気にも慣れれば、建物の壁面に無造作に増設された室外機にも、風情を感じられるようになってくる。人々の多様な生活が息づいているのをうかがえる。

 そびえる建物から地上へ視線を下ろすと、高さ方向に緩和されていた人口密度がうんと濃くなる。ビルの合間では人々のエネルギーが渦巻いている。無秩序なネオン看板、道にせり出す露店、街を歩く親子の笑い声や商売に励む初老のおじさん、おばさんのかけ声 ―― 往年の爆発のような活気はないかもしれないが、その文化の片鱗はいまも垣間見えた。