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「宇宙博2014」の個人的興奮ポイントを書き留めておく(第2稿)。
“あなたも貯める軌道にのせてください”
アポロ計画。最初の有人月面探査計画。
あらゆるモノが展示されていたが、なかでもボクの印象に残ったのは、宇宙船と何の関係もないモノだった。
アポロ11号月面着陸の日の、朝日新聞である。注目したいのは、下部にある銀行の広告だ。
アポロ11号 月面着陸 おめでとう 第一の定期預金で あなたも 貯める軌道に のせてください
うまい。うますぎる。センスが溢れでている。
月面着陸は歴史だと思っていたけれど、「定期預金」なんて単語が出てくると、生身の人間が経験したと実感してしまう(笑)。
司令船のハッチ。ごちゃごちゃしていてよく分からない。が、船内の空気をしっかり気密しつつ、短時間で開閉できる優れ物。いったいどうしたら、こういう構造のアイディアを思いつくのだろう……!
映画『アポロ13』に登場した、“四角い箱と丸い筒”もあった。
月への往路にあったアポロ13号で、司令船の酸素タンクが爆発した。クルー3人は司令船の電源を切り、2人乗りの着陸船のシステムで生き延びる。
すると、クルーが吐くCO2が、1人分多くなった。除去装置の限界を超えてしまう。司令船から装置を拝借したくても、それぞれの船は製造会社がちがう。司令船は四角い箱、着陸船は丸い筒でできていた。
宇宙飛行士たちは生き残りをかけ、船内にあるもので工作を試した。四角い箱と丸い筒をつなげるために。
そんな、歴史に残る伝説的な、四角い箱と丸い筒。たしかに四角い。たしかに丸い。
月着陸船内のレプリカ。『アポロ13』で見た景色だ!
司令船のパラシュート。目立ちやすいなどの意味はあるんだろうけれど、赤と白のデザインセンスは、常々天才的と思う。
米ソの月面車が並んでいて、その場で比べることができた。
アポロの月面車は、地球の車と似ているところもあるらしい。タイヤは金属のメッシュでできている。月の砂は細かいので、埋まってしまいそうな気もするが、大丈夫なんだろうか。ちょっと座席に座ってみたいな。
一方、ソ連の無人探査車「ルノホート」も、タイヤはメッシュでできている。ただしアポロとちがって、その形は突起があり探査車らしい。こちらのほうがうまく走れそうに思える。全体を眺めてみると、もっと小柄なイメージでいたけれど、本当は人よりデカかった。かつて宇宙少年たちがドリルと考えていたアンテナは、いかにもゴリゴリと、岩を掘削しそうなサイズ感である。アポロ15号の着陸船をブスブス刺した、という噂も、あながち間違いではなさそう(笑)。
古今東西宇宙服ズラリ
充実していた展示のひとつに、宇宙服がある。どうやってこんなに集めたんだろう。比較のために時代ごとで並べてみた。左から、マーキュリー、ジェミニ、アポロ、スペースシャトル、そしてロシアのいまの船内服。
マーキュリーの船内服は、レトロな雰囲気を漂わせる銀ピカ。映画『2001年宇宙の旅』ライクなデザインだが、真似たのは映画のほうかもしれない。
ボクはアポロの船内服がお気に入りだ。赤と青で色分けされたバルブは、シンプルながらも合理的、デザイン性もよい。アポロで採用された設計と思っていたが、どうやらジェミニの船内服も似ている。さらにヘルメットが360度ガラスというのも、首を回すだけで周囲が見えて、使いやすそう。アポロの物には合理性を追求したゆえの、美しさを感じることが多い。
ロシアの船内服「ソコル宇宙服」は、若田飛行士が身を包んだものらしい。ロシア語の綴りだと「BAKATA」になってしまうのか……(失礼)。
つづいて船外活動服。アポロ、そして現代のもの。現在の服には有名な鏡文字が付いている。知っていても、実際に見るとおもしろい。
最近の宇宙船
工業的な展示品のなかに、不思議なモノがおかれていた。SF映画に登場しそうな、手のひらサイズの物体「ARTSAT2」。惑星間彫刻といった様子だろうか。何かの役に立つものでもないけれど、人間味を感じておもしろい。こういう取組みが増えるといいな。
スペースシャトルとなると、中継で見たことのある機体なので、親近感が湧いてくる。緊急脱出ハッチはこんなところにあったのか。タイヤはゴツいけれど、見た目は飛行機、大きさはトラックとあまり変わらない。宇宙船だからといって、何でも仰々しいわけではない。
言わずとしれた「はやぶさ」の展示もあった。イオンエンジンの模型を前から見たことはあっても、横からはない。意外とほっそりした構造。ふつうのロケットとちがう、電気推進ならではの特徴か。カプセルの模型に視線をうつすと、パラシュートが脇に入り、底には綿のようなものが敷き詰められている。今までの宇宙船のイメージとちょっとちがう。
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時代ごとに宇宙船の特徴が変わり、それが目に見えてわかるのはおもしろかった。
後輩よ、すまなかったな……。