ついに。ついにである。
宇宙好きにとって人生で一度は訪れたい聖地、種子島への上陸をついに果たした!
たくさんみどころがある島だったけれど、今回は宇宙しばりで書いてみる。
どこへ行っても宇宙だらけ
種子島は思ったよりも、どこに行っても宇宙だらけの島だった。
まず港にロケットがドーン。船酔いが一気に覚める。
ドライブしていると、あちらこちらでロケットの模型が目に入る。H-ⅡBだ!
島中、細長いものがあれば何でもロケットの形だ。橋の柵とか。
いや、そこまでしなくても、と思いつつコンビニに立ち寄ると……
なんとコンビニにまでロケットの写真が飾られている!
もうテンションの上がり方が尋常ではなくなってくる。
しかも宇宙食まで売ってるよ!
科学館じゃなくてコンビニだぞ!
小高い丘にある、宇宙が丘公園。ここはなにかのアニメの聖地でもあるらしい。ロケットを追尾するレーダーとGPS測位点がある。
遠くに射場が見えた。いつもネットで見ていた射点が見えるところに!
JAXA種子島宇宙センター見学ツアー
JAXAバス
今回島を訪れた理由は「種子島ロケットコンテスト」。全国の学生サークルや研究室が一同に集い、JAXA種子島宇宙センターで自作のロケットやローバーの技術を競い合う。
ボクは特に何か持っていったわけではなかったが、聖地を踏めるということで大会に参加。JAXAの職員による宇宙センター見学ツアーに参加する機会を得た。
JAXAのロゴがついているだけで、バスもカッコよく見えてしまう(笑)。
そしてこのバス、上の棚にヘルメットが敷きつめられている。
職員が射場近辺に行くときに使うのだろうか?
目と鼻の先に本物のロケットが・・・!
まず訪れたのは「ロケットガレージ」。
5号機の衛星軌道投入失敗、8号機の打ち上げ失敗によって、打ち上げが中止されて行き場を失った(?)H-Ⅱロケット7号機がおかれている。
模型ではない、本物がポンと。しかも、「触るな」とはいわれるが、目と鼻の先である。
奥にあるのが第一段。手前が第二段。
いや、近すぎだろう!
空気抵抗を減らすためにスベスベかと思っていたが、意外と凹凸が多い。
形は模型とあまり変わらない。
デコボコしている。大型だから、多少は気にしなくてもいいのだろうか。
フェアリング(衛星を入れるカバー)。
地球に落下してきた一部を購入したことがあるのだが、なるほど、ハニカム構造になっている部分だったのか。
そして、意外と手づくり感があるのだ。こちらは第二段のエンジン部分。
コードをさす場所を間違えないようにする工夫とか。
こういうだれでもやりそうな工夫の積み重ねが、高確率の成功につながっているのだろうなぁと思う。
よく衛星分離の映像で見る部分も、無造作におかれている。
いろいろな科学館におかれているけれど、もちろんエンジンも間近で見られる。
あとは、ちょっと珍しいけど、ロケットを支える台。ごつい……。
しかし改めて、これだけ大きなロケットがよく宇宙まで飛ぶよなあ、と感心してしまう。間近で見るとなおさらだ。
総合司令棟
つづいて、打ち上げ管制の中心拠点、総合司令棟へ。
モニターがぎっしり。よく中継映像で見る部屋だ!
打ち上げが成功してみんなで拍手している映像は、このカメラで撮っているらしい。
射点のライブ映像といっしょにNASA TVが流れていた。
いかにもハイテクな雰囲気のある管制室だが、ここは大自然の中、クモがいたりもする(笑)。
すぐそばの丘では何やら工事が。新型のH3ロケットの管制棟をつくるんだとか。
50年前の発射場
種子島からはじめてロケットが打ち上げられたのは50年もまえのこと。その射場を見せてくれた。
職員も最近はじめて見たらしく、ツアーするのも今回がはじめてだそう。
その射場がここ。
ん? な~んにもない。実は移動式発射台だったから跡はなにもないらしい。職員の方も「たぶんね、ここらへん」とかいっていた。
本当にここだったのか?(笑)
ちなみに、そのすぐ脇には二日後に別のロケットの打ち上げで使われた煙道が残っている。
そのときはレールで運んできたらしい。
こんな感じ。
まあ、はじめて見せるといわれて期待したけど、こんなもんか、と(笑)。
話は変わるが、このツアーの帰り、射場が見える海岸でロケットガレージで触った(触ってもよかった)断熱材と似たようなものを見つけた。見た目も手触りも同じ。
ロケットの断熱材が剥がれて流され、海岸に流れついたりするのだろうか。
同じようなものが周辺一帯に散らばっていて、ひとつ持ち帰ったが、どうやって確かめよう・・・?
今度JAXAの人に見せてみようか。
下からエンジンを見られる! 宇宙科学技術館
種子島宇宙センター内には科学館もある。
ロケットエンジンのノズルを横から見ることは数あれど、下から見る経験はなかなかないのでは? しかも、歴代のエンジンが勢ぞろいだ。
溶接のあとがよくわかる。
世界のロケット。
特段珍しい展示でもなさそうだが、よく見ると右端のロケット、ソ連の崩壊とともに消えた「エネルギア」! とんでもない性能とパワーをもつロケットだったが、わずか二回の打ち上げで計画が終了してしまったらしい。復活するという話もちらほら聞かなくもないが、定かではない……。
現在開発中のH3ロケット。
けっこう派手に宣伝していたが、開発に携わる人からはあまりすごいという話を聞かないロケット(笑)。まあ、そういうものなのかもしれない。しかし、どうにもボクには見た目が古い気がしてならない。黒はアクセントカラーに欲しいなあ。
ロケットだけではなく、実物大の「だいち」の模型があったりする。ペーパークラフトだと小さかったんだけどなあ、デカっ(笑)。
恐竜が登場する「マイ人工衛星」ゲームも(笑)
館内はけっこう遊び心満載な展示が多い。
たとえば、月の模型の裏に小さくアポロがくっついていたり。
無重力状態にいるような写真を撮影できるスポットがあったり(けっこうむずかしい。腹筋をきたえてから行くべきだった)。
随時手書きで更新されていく探査機情報。いいアイデアだなあ。
あと、すぐそばのゲームをするところの壁に「はやぶさ」、「はやぶさ2」で有名な國中均さんのサインがあったり(ただの落書きにしか見えず、最初、全然気づかなかった)。
あきらかに『宇宙兄弟』を意識した展示も。
とまあ、盛りだくさんでじっくり見ようと思ったら5時間くらいはかかりそうだった。
ちなみに、ここのミュージアムショップで買ったロケットカップで、最近はコーヒーを飲んでいる。
『プラネテス』のオープニングを思い出しながら。
カップそのものがコーヒーを飲むのに良いデザインかは別として、毎朝の至福のひとときだ。
種子島ロケットコンテスト
せっかくなので、少しロケットコンテストのことも書いておこうと思う。
ボクは初参加であったが、種子島ロケット打ち上げ50周年だったこともあって、今年は特別にJAXA若手職員自作のロケット打ち上げで大会がはじまった。
先ほど紹介した、種子島最初のロケットのスケールモデルだ。職員たちが趣味でつくったらしい。
本番さながら(?)の打ち上げ前の点検やカウントダウンで打ち上げられた。打ち上がるまでの長いこと、長いこと(笑)。
おー、手づくりだ!
こちらは「カンサット」会場。
気球を使って高度50mからローバー(探査車)を投下、着地点から自動でカラーコーンを目指す競技だ。
ボクも気球を上げる係を手伝ったのだが、みんな着地の衝撃で動かなくなってしまうのがほとんど。ところが目の前でコーンに到達したローバーを見たときは、ちょっと感動した。
H3ロケット管制棟工事現場と、ロケットの模型と、大会テント。
小型モデルロケットの打ち上げ競技も。小型だけに、ふつうとは一味違った競技となる。上空から回転したり、滑空して地上へ戻ってくる機体、超軽量で空高く上がる機体、高度を抑えてすぐに再使用できる機体などなど。
ロケットだけじゃない。満天の星空!
最後に。ロケットだけじゃなく、さすがは離島、見える星の数が桁違いだった。
発射場と星空。ちょっとスゴすぎるのではないか?
時間を忘れて夢中になって撮影した。
赤道儀をもって行かなかったのが悔やまれる。暗すぎてどうしても星が流れてしまう。
サークルの宣伝用に先輩と同期に3分ほどかたまってもらって(笑)。
しかし、撮れる写真すべてが素晴らしい。
灯台のサーチライトが気になってしまうが、天の川と発射場の構図を頑張れば、さらに素晴らしい写真を撮れるに違いない。
次回来るときは時間をあわせて、赤道儀をもって行きたいなぁ。
もうお腹いっぱいというくらい、宇宙三昧の種子島でした!