ハッブル宇宙望遠鏡撮影のオリオン大星雲

NASAなどの宇宙の画像を使うには? 著作権まとめ


 Webサイトやブログで、NASAなどの宇宙機関の画像を使いたいことがある。しかし研究機関ごとに利用規約が異なっていたり、英語だったりと厄介なので、簡単に調べてまとめた。

※あくまでも個人がネットで調べたものです。間違っていても当方では一切責任を負いかねます(間違いを教えていただけるとうれしいです!)。

トップ画像クレジット: NASA,ESA, M. Robberto (STScI/ESA) and the Hubble Space Telescope Orion Treasury Project Team

注意事項

 各機関の利用規約を見るまえに大事なお話を。

 Webサイトやブログを運営している人のなかには、アフィリエイトやアドセンス広告を載せている方もいらっしゃるだろう。その場合、微妙な問題がある。機関によっては画像の使用を非営利目的に限定している。広告の掲載は営利活動だが、画像の掲載は非営利目的とも考えられ、厳密でない。そこは著作権者・使用者によって変わってくるので、使用者自身で判断しなければならない。注意されたい。

 また画像によってライセンスがちがったり、変わることもある。特に人が写っていたり、複数の団体が関わっている写真は注意が必要だ。詳細は各自で調べてほしい。

NASAの画像を使うには?

 高品質の宇宙の画像を探すなら、まずはNASAだろう。太陽系のすべての惑星に探査機を送り込んだのは、NASAだけだ。

 NASAの利用規約を見てみよう。まずは非営利活動での利用について、大事な部分だけ要約した。

 「NASA提供」と書けば自由に使ってよさそうだ

 商用利用ではどうだろう?

 つまり、商用利用もルールを守ればOKということらしい。Webサイトやブログにも「NASA提供」と書けば基本的には使える。

 ただし例外や注記もたくさんあった。NASAのロゴの扱い、宇宙飛行士や従業員が写っているもの、NASA以外の著作権保有者がいるもの、グッズづくりと販売、本格的な番組製作などなど……細かなことは上のサイトで確かめてもらいたい。

 NASAの画像を探すときは、NASA Image and Video Libraryがオススメだ。

JAXAの画像を使うには?

 探査機「はやぶさ」が撮影した小惑星イトカワの表面、探査機「あかつき」が撮った金星、種子島を飛び立つロケット……。日本の宇宙機関JAXAの画像も、宇宙好きとしては使いたい。

 利用規約は日本語だが、すこし難解だ。「(1)著作権について」を要約した。

 これを見ると、Webサイトでの掲載などはJAXAに許可を申請するということになる。そこで直接JAXAデジタルアーカイブスの問い合わせ窓口にメールをしてみたが、返信はなかった。

 さらにネットでリサーチをつづけると、JAXAの画像利用に苦労している人は多いらしい。

個人blogでJAXAの画像を利用するには
JAXA素材の個人ブログ・ホームページでの使用について

 上のブログ記事の方は、直接JAXAに出向いたようだ。2010年の段階で、個人ブログ掲載は申請すれば許諾するという。しかし返信がないのは認められないのか、それとも個人まで対応する余裕がないのだろうか……。

 これらの記事を読んで総合的に判断すると、こんな感じになるだろう。

 残念だが、JAXAの画像はほぼ使えないと考えたほうが良さそうだ。

 このことをツイートしたところ、耳寄りな情報をいただいた。JAXA内で探査機の運用などをしている宇宙科学研究所のサイトでは、一部の画像やデータを使うことができるようだ。

宇宙科学研究所のデータポリシー

国立天文台の画像を使うには?

 国立天文台は、JAXAと並び日本を代表する宇宙関連機関だ。主に望遠鏡で撮影された画像など、天文のデータを見られる。

 こちらは少し前にWebサイトがきれいになって、ウェブサイト著作物利用ガイドも改定された。とても分かりやすい。個人のWebサイトやブログについて、大事そうな部分を中心に要約した。

 基本自由に使ってOKとは、NASA並みではないか。すごい。国立天文台、ありがとう!

ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の画像を使うには?

 ヨーロッパ宇宙機関ESAも、彗星の地表からの景色や、分かりやすくかわいらしいデザインのポスターを公開している。貴重な画像・映像が盛りだくさんだ。

 画像利用規約の内容はNASAと似ている部分も多い。ESAの画像を無料で利用したい場合について、要約した。

 そして大事なことは、ESAの画像や映像は「CC BY-SA 3.0 IGO」ライセンスで保護されている。これは国際的に通用する著作物利用ルールのひとつだ。簡単にまとめた。

 このルールにしたがえばいいので、ESAの画像の自由度は高い。さすがヨーロッパと言ったところだろうか、先進的だ。ただしすべての画像に適用されるわけではないので、毎回確認しよう。

SpaceXの画像を使うには?

 宇宙開発業界を席巻する米SpaceX社。青い地球をバックに浮かぶ赤い車など、ビジュアルの素晴らしさから使いたい画像も多い。

利用規約を要約した。

SpaceX、やっていることもいろいろぶっ飛んでいるけれど、ここでもぶっ飛んでいた。こういうオープンな姿勢は素晴らしい。

 2019年12月、SpaceXは画像の利用ライセンスを改定した。それまでは利用規約のページがあり、「CC0ライセンス(パブリック・ドメイン)」で基本自由に使ってもよかった。いまは利用規約のページは消えたが、写真は米Yahoo!の画像共有サイト「flickr」上で、「CC BY-NC 2.0」ライセンスで利用できる。

Roscosmos(ロシア)の画像を使うには?

 ロシアの宇宙開発企業ロスコスモス。有人宇宙船ソユーズなどを飛ばす、忘れてはならない組織だ。

 ところがどんなに探しても、規約のページが見つからない(ロシア語ならあるのかもしれないが、ボクの知るロシア語は「ウラー!」と「ダー!」だけなので)。

 米Yahoo!の画像共有サイト「flickr」に写真が上がっているのを発見したので、これを使うのがよいだろう。利用ライセンスはSpaceXと同じ「CC BY-NC 2.0」だ。

ISRO(インド)の画像を使うには?

 インドの宇宙機関ISRO。日本では聞き慣れない名前だが、月探査などで近年躍進している。

 ISROの利用規約によるとISROのウェブサイトに使われている資料は、すべてISROに著作権がある。使う場合はISROに連絡するように、ということらしい。それぞれ個別対応のようだ。

宇宙の画像を使うには? まとめ

 個人のWebサイトやブログで各機関の宇宙関連の画像を使うとき、注意したいことを簡易表にまとめた。ご参考まで。例外もあるので注意!

機関名掲載(広告収入なし)掲載(広告収入あり)改変クレジット表記
NASA○?必要
JAXA△(申請が必要)✕(有償利用)必要
国立天文台○(利用報告)必要
ESA必要
SpaceX必要
Roscosmos必要
ISRO?(個別連絡)?(個別連絡)必要?