モデルロケット「Alpha Ⅲ」の打上げ

初めての方に打ってつけ! モデルロケット「Alpha Ⅲ」の作り方


 「Alpha Ⅲ」という有名なモデルロケットのキットがある。

 簡単に作れて仕組みも理解できるので、初めてモデルロケットを製作する方にピッタリだと思う日本モデルロケット協会も初心者向けに推奨している

 たまたま手元にあったので、風呂上がりに作ってみた。すこし詳しく作り方を解説してみる。

モデルロケットの基本的な仕組み

 作り方のまえに、モデルロケットの基本的な仕組みを知っておく必要がある。

 モデルロケットは、基本的に上段と下段に分かれている。

 エンジンはまず上昇のための噴射をしたあと、すこし経ってから逆噴射をする。その勢いで上段と下段が分離し、中からパラシュートが出てきて軟着陸する。

 この仕組みを念頭において、「Alpha Ⅲ」を作ってみよう。

「Alpha Ⅲ」を作ってみる

 1時間くらいでできあがる。

 まずキットの中身を確認。本当は発射台も入っているけれど、もらい物なので抜かれている。

 今回は上段を上部、下段を中央部と下部に分けて作り、組み立てていく。

「Alpha Ⅲ」の下部を作る

 まずはロケットの下部(翼のある部分)を作る。やることは2つ。

 「エンジンマウント」はその名の通り、固体燃料のエンジンがある部分。間違えると危険だ。焦らずゆっくり正確に作ろう。

「エンジンマウント」を作る

「エンジンマウント」にフィンを取り付ける

「Alpha Ⅲ」の中央部を作る

 下部が完成したので、つぎは中央部。やることは2つ。

 「ボディーチューブ」はロケット本体の細長い筒を指す。

 「ランチラグ」というのは、モデルロケット側面に取りつける管のこと。宇宙に飛ばすようなロケットには姿勢制御の装置があるけれど、小さなモデルロケットにはない。そこである程度のスピード(「ランチクリア速度」という)が出るまでは、発射台に備えつけた棒に「ランチラグ」の管を通し、ロケットが棒にそって上昇するようにする。

 中央部の製作は、じつは一瞬で終わる。

「Alpha Ⅲ」の上部を作る

 最後に上部を作る。やることが多くて、ちょっと大変かもしれない。

 モデルロケットは上段と下段が分離し、中からパラシュートが出てきて軟着陸する。「ショックコード」はその上段と下段をつなぐ紐のこと。パラシュートの付いていない下段は、これがないと減速せずに落ちてきてしまう。

 「ノーズコーン」は、ロケットの先端部を指す。

「ボディーチューブ」に「ショックコード」を取りつける

「ノーズコーン」にパラシュートを取りつける

ロケット上段と下段をつなぐ

「Alpha Ⅲ」の打上げ

 翌日、武蔵野ロケットクラブ主催の打上会で、昨夜作った「Alpha Ⅲ」を打ち上げてみた。それぞれ自慢のモデルロケットを持ち寄る。

 打上げにはかなり広いスペースが必要になる。今回は千葉県の野田市スポーツ公園の河川敷だった。場合によっては航空法などにそって行政に申請を出す必要もあるので、注意したい。

打上準備

 打ち上げるまえに、一旦上段と下段を分離してパラシュート取りだし、下段に不燃紙(キットとは別売)を詰める。エンジンの逆噴射でパラシュートを出すとき、熱でほかのパーツが溶けては元も子もない。下手すると空中分解する。不燃紙はそれを防ぐ。

 「Alpha Ⅲ」では、不燃紙は3~4枚入れる。入れたら上段と下段を再接続して、今度はエンジンを投入する。

 「Alpha Ⅲ」で使えるエンジンで、製造元のエステス社推奨は以下のとおり(別売)。

 先にイグナイター(点火用の導線)の先端をエンジン奥深くに差し込み、円錐型のプラスチック部品で固定する。これで準備完了。

リフトオフ!

 発射台や点火装置はキットのものでOK。今回は武蔵野ロケットクラブの方からお借りした。いざ、打上げ!

 点火すると、あっという間に上がっていって、パラシュートが開くまで見失ってしまった。さすがキット、よくできている。きれいな打上げだった。

 無事回収。ちゃんとパラシュートで降下した。穴を開けたにもかかわらず、ちょっと流されすぎた気がする。

 それにしても、再使用できるきれいな状態での帰還。初心者ならエンジンが複数あれば、何度か打って慣れることもできる。「Alpha Ⅲ」、モデルロケットを一から自分で設計するまえに、ぜひ打ち上げてみてほしいと思う。