皆既月食2018

1月31日、3年ぶりの皆既月食があった。

日食と月食だと、同じ地点では日食の方がレアな現象なので日食の方が盛り上がる気がするのだが、個人的には月食の方が好きだ。

皆既日食は見たことがないから何とも言えないけど……。

皆既月食は観測できない

皆既月食の方が日食よりも好きな理由は、スピードのある変化。

宇宙ってスケールが大きいからか、普段見る星空は全然変化がない。

奥は深いけれど、人間の時間スケールで見ると変わっているのかどうか分からない。

でも、皆既月食は影の形や色がすごいスピードで変わっていく。

ちなみに日食は、色は変わらないし欠けるだけだから、皆既月食には負けると思っている。

前々回(2014年10月8日)、前回(2015年4月4日)はしっかり観測計画を立てて挑んだが、失敗した。

前々回は月食観測が初めてで、あまりの変化のスピードと美しさに見とれてしまい、観測にならなかった。

前回は、前々回の反省を踏まえつつ望遠鏡での撮影に挑んだが、やはり変化の速さに圧倒され、まともに観測することはできなかった。

そういうわけで、今回はどう観測するか悩んだ。

ただ、直前にバイトがあったので、観測計画を立てても準備時間がほとんどない。

そもそも、今回は3年ぶりの皆既月食。見とれてしまって観測どころではないかもしれない。

ひと月以上悩んだ末の結論。観測しない。

脱・観測。

美しい景色をボーっと眺める。

観測するのもいいけれど、楽しむためなら眺めるのもいいだろう。

新しい発見もあるかもしれない。

脱・観測でターコイズフリンジを視認!

1月31日。

待ちに待った3年ぶりの皆既月食の日。

バイト先を速攻で抜け出して、家之裏宇宙空間観測所に着いたところ、上空を見慣れぬ飛行機が通り、その撮影で欠け始めを見損なう(笑)

ま、いっか。脱・観測なんで。

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この機体は何だったのだろう?

おそらく米軍のC-5? C-17?

脱・観測ということで、観望スタイルはシンプルにした。

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一眼レフで狙う。あとは双眼鏡で眺める。それだけ。

ちなみに、奥に見える望遠鏡は今回は弟が使った。ボクは一切使わず。脱・観測なんで。

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ああ、久しぶりに眺める地球の影……

初めて見たときは「デカっ!」と思ったけれど、今見ると小さいな(笑)


新しくした一眼レフNikon D3400の機能で、スマホにbluetoothを使ってそのまま写真を送りSNSにアップできる機能がある。

せっかくだから、これでリアルタイムツイートをしてみた。

これが21世紀の楽しみ方だよ、諸君。

まだまだ皆既ではないけれど、大きく欠けてくると赤くなってくる。

どこまでが部分月食で、どこからが赤く見える皆既月食、という境目が分からないところが好きで、皆既月食の魅力だと思っている。

自然現象を見ているという感じがする。

世の中、そんなにハッキリした境目なんて意外とない。

でも、写真ではターコイズフリンジの境がしっかり見え始めている。

ここ10年くらいで分かってきた、赤い地球の影と太陽光に照らされた月面の間にある、薄く青っぽい帯のこと。

地球のオゾン層などが関係していると言われているらしい。

言われているらしい、というのは、はっきり納得させてくれるデータをまだ見たことがないから。誰か調べないのかな。

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そうこうしているうちに、あっという間に皆既直前。

この写真を撮った前後、素晴らしい光景を目にした。

双眼鏡で眺めていたのだが、皆既前の5~15分間ほど、今まで肉眼では見えていなかったターコイズフリンジが、はっきりと分かる帯として確認できた。

しかも、思ったよりも青い。

写真で撮影されたターコイズフリンジは、彩度に手が加えられているものが多くて、実際どのようなものか知らなかった。

これまでも撮影を試みていたのだが、「これか?」という写真しかなく、撮ることばかりに集中していて自分の目で確認できていなかったのだ。

それが簡単に、はっきりと青い帯に見えた。

濃いオレンジとターコイズブルーの月面、そしてちょっとだけ白く輝く縁。

ものすごく美しかった。

脱・観測の成果!

しかし、残念ながら双眼鏡で眺めていたから写真はない。

ま、いっか。

そして、いよいよ皆既。

赤か。実にいい色だ。

なぜ、ずっと映画やアニメのセリフばかりツイートしてきたのかというと、これが言いたかったからです。

「赤か。実にいい色だ」

シャア・アズナブルが暁の蜂起の後で呟いた言葉。

素晴らしくピッタリな名言ですね(笑)

団子を食す。

自分の目指す天体写真は、真っ暗な背景に浮かぶ星々。

これを良いと思う人がどのくらいいるのかは知らないけれど、普通は見えないであろう量の星が散らばっていたり、ものすごくはっきり星雲が見えていたり、背景が灰色っぽい天体写真は好きではない。

もっと風景写真のように自然な宇宙を撮りたい。

で、星々が拡がる宇宙を背景に、どこかの惑星が浮かぶイメージはSF映画にたびたび登場するが、実際に星空の中の満月などで撮影してみると上手くいかない。

満月の明るさに合わせれば星は暗くて写らないし、逆に背景の星の明るさに合わせると月が真っ白になる。

しかし、地球の影に入って月が暗く見える皆既月食では、背景の星と両方を同時に写せるのだ!

これをずっと3年間、撮ってみたかった。

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2枚目は背景明るいけれど、星が本当によく写る。

やっぱり皆既月食は最高だ!

皆既真っ最中に、近所の人がやってきた。

普段あまり会うことはないけれど、皆既月食を見に外に出てきたらしい。

他にも、ちょっと遠くから来たらしい姉妹に双眼鏡を貸してみたり。

脱・観測では、こういう交流もできるのか。これはこれでいい。

チョコをもらったりもした。ありがとうございました!

さて、皆既が終わった頃、ここまで脱・観測を掲げてきたボクだが、ターコイズフリンジはどうしてもしっかり撮ってみたくなった。

皆既前5~15分で肉眼で視認できたのだから、皆既後5~15分でしっかり条件を設定すれば撮影できるはず。

というわけで少し露出短めで構える。

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撮れた。

肉眼ほど青くは見えないが、しっかり帯が写っている。

f/8 1/4秒 300mm ISO800。

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肉眼で見るのに近づけると、こんな感じ。

実際はもっと色鮮やかに感じた。

はっきり見えるでしょ?

このあと、ちょっと曇ったけれどまた元に戻っていった。

これを見ながら余韻に浸るのがいいんです。

地球の影が動いていくのを見て、ダイナミックな星の動きを感じる。

後日談いろいろ

それにしても、脱・観測、素晴らしい。

新しい発見も多くて楽しい。

そりゃあもちろん、しっかり撮影計画立てて撮った写真は素晴らしいんだけど、撮っている間はせわしない気がするし、一発勝負だから新たな発見は少ない。

たまには意識的に脱・観測で眺めてみて、新しく気付いたことを次回しっかり観測するという方が面白いのかもしれない。

SNSを駆使したこともあって、リアルタイムで日本中の人の感想や観測結果を見ながら、近所の人とお喋りもして、ゆっくり双眼鏡で赤い月を眺めるという、新時代の天体現象の楽しみ方を見つけた気がする。

さて、皆既月食直後にtwitterを眺めていてとんでもないことに気付いた。

もう名前なんてどっちでもいいんですよ、あんなに美しいんだから(笑)

SNS全盛の今、終わってからいろいろな人の写真と比較したり、感想を聞いて余韻に浸るのも楽しみの一つになった。

まあ、みんな主観で選んでいるからあまり参考にはならないけれど、やっぱり今回は暗かった気がする。

おかげで星空の中に浮かぶ赤い月を撮影できたし、大満足。

そして、こういうダイナミックな現象を見ると、異世界への想像がどんどん膨らんでくるんですね。

NASAが2014年に公開した月から見た場合のシミュレーション動画が流行ったり。

皆既月食が赤く見えるのは、地球の夕焼け・朝焼けの光が当たるからだってよく分かる。

あとはtwitterで火星から皆既フォボス食、皆既ダイモス食を見たいなんて話も。

でもやっぱりボクが見たいのは皆既カロン食ですよ。

だって、初めてニューホライズンズから送られてきた、冥王星の大気の画像を見たら、誰だって興味が湧くでしょう?

絶対、冥王星の氷河から皆既カロン食撮ったら綺麗でしょう!

人生で一度は見てみたいなあ。