流星電波観測
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2017年12月。

天文サークルの有志メンバーから「ふたご座流星群弾丸観測会」に誘われ、ついて行ったらまんまと勧誘に引っかかり、というよりも半ば強制的に、会員にさせられてしまう事件があった。

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それからほとんど顔を出していなかったのだが、ちょうど1年が経ち、また遠征に行ってきた。

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レンズヒーター弾丸自作

弾丸遠征というのは、その名のとおり弾丸だ。大学の講義が終わると遠征地に直行する。宿もとらず、暖もほとんどとらず、ひたすら星を見つづける。空が明るくなったら撤収する強行軍だ。

昨年は、日光・戦場ヶ原で-16℃の極寒遠征となり、初めて星を見ながら帰りたいと思った。しかし今年は勝手知ったる清里。-12℃くらいでとても心地よかった。

そうはいっても、宿がないので暖はほぼとれない。カメラに不具合が起きたりレンズが結露したら最後、それで撮影が終わってしまう。今までこれに幾度となく悩まされてきた。

清里高原に行くとなると結露は免れない。今年も仕方がないなぁと思っていたのだが、そこに朗報が飛び込んできた。

サークルのあせとあみのふぇん氏が、レンズヒーターの自作に成功したという。レンズを少し温めておけば結露しないそうだ。本当だろうか。材料が余っているというので、急遽、出発の数時間前に教えてもらい自作した。これぞ弾丸観測にふさわしい(笑)。

ちなみに彼の天文ブログ、面白くてオススメだ。みるみるうちに天体写真の腕が上達していく様子が分かる。天体写真は大学に入ってからだというが、知識量と技術はもう7年目なはずのボクを遥かに超えている。声を大にして言わせてもらおう。めちゃくちゃ悔しい!

あせとあみのふぇんのブログ

さて、できあがったレンズヒーターがこちら。レンズに巻いて使う。

電源は、スマホ用モバイルバッテリーを三脚に吊るした。製作時間はおよそ1時間半。そこそこかかった。まぁ、出来上がったからよいが、これは弾丸で作るべきものじゃなかった(笑)。

しかし、本当にこんなもので結露しなくなるのか? 材料費は千円もかかっていない。

流星群の日ならでは? 高校時代の部活仲間に遭遇

12月14日、夜8時過ぎ。レンタカーで東京を出発。山梨県の清里高原まで急ぐ。

途中10時過ぎくらいだろうか。山梨県に入ったところ、談合坂サービスエリアで休憩を入れた。サークルの人曰く清里遠征では定番らしい。いつもは「青春18きっぷ」の旅なので、ここは初めてである。

夜どおし観測に向けて腹ごしらえをする。天文サークルに入ったとはいえ、ほとんど名前だけの幽霊なので、見知らぬ顔が多い。どんな奴がいるのだろうと、食べながら辺りを見回した。

ここで知っている顔を発見。しかしよく見てみて自分の目を疑った。なんと高校時代の部活仲間に見える。まさか本物か? だとしたら久しぶりだ。いったいこんな時間に、なんでこんなところにいるんだ? 偽物ではないのか?

後ろからついて行って、ちょっと脅かしてやった。偽物だったらと一瞬気を張り詰めたが、驚いたのち意外だという顔を見せたので、どうやら本物だったらしい。してやったり!

どうやら彼も団体で来ているようだ。「いったいこんなところで何をしているんだ」と尋ねると、「おまえこそ何しているんだ」と(笑)。聞けばどちらも流星群目当てで、団体は彼が所属している天文サークルだった。本栖湖まで行くという。

そういえば、夜も遅いのにやけに若者が多い。ボクのサークルのメンバーもまったく知らない人と話しているのを見かける。これ、みんな天文サークルか……! 世の中にはこんなにも、夜通しで流星群を眺める同年代がいるのかと、ちょっと嬉しくなった。

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いざ、朝まで撮りまくる!

残念な流星写真たち

その後ほかのサービスエリアでも休憩をとり、何度か流星も見えた。

▲山本勘助と星空(とあわよくば流れ星)のつもりだったが、ピッカピカになってしまった(笑)

深夜1時まえ、清里に到着。いつもは鈍行列車で途中下車もしながらほぼまる1日の移動なので、もう着いてしまったのかと思う。

車を降りるとそこは雪原だった。間違いない。本当に清里だ。

ただいま!(これが11回目の清里遠征だった)

近くにスキー場があり、ナイター照明がやけに明るい。いままでの経験から夜も更ければ消えるだろうと踏んだのだが、なんと朝までピッカピカだった。高校時代に光害の研究をしていたボクには許しがたいことだが、仕方がないので照明も利用した星景を撮りはじめる。

おおいぬ座。あまりメインで撮ったことがなかったが、何気に存在感があるんだよな。流星が端っこだけ写った(上のほう)。残念。

ナイターで空の色がおかしい。そして写真の下側、明るい流星が切れている。残念。

そこそこ明るい流星。木と重なった! 残念。

今回のふたご座流星群は特に数が多かった気がする。「流れた!」と言って指をさしている間にぽんぽん飛ぶ。

しかし、どうしてだろう。どうして去年と言い今年と言い、ギリギリ残念なところにばかり流れるわけ!?

新しい星景写真の撮り方を試す

流星撮影ももちろんだが、それに加え今回は新しい星景写真の撮り方を試した。詳しくはまた別で記事にする予定だが、フリーソフト「Sequator」を使い、固定撮影した複数の写真を合成する。地上と星空を自動で識別、違和感なく合成してくれるという。

これまでと比べ各段にお手軽だが、はたしてどこまで使えるのか? ソフトが地上と星空を見分けるって難しいんじゃない?

というわけで、実際にやってみた。

いきなり木々を入れた写真である。同じ構図の写真を8枚。いくらなんでも、これを上手く合成するのは厳しいだろう?

と思ったのだが、難なく違和感のない写真ができあがった。木々の周囲もちゃんと星があるし、実写と変わらない。素晴らしい。

「元の写真より暗いではないか?」とおっしゃる方もいそうだが、それはボクが画像処理したからである。Sequatorは明るい星を明るく、暗い星は暗く合成し、ノイズを大幅に減らしてくれる。別に暗い星も明るくすることはできるのだが、それはボクの趣味には合わないので。下の写真の夜空は上と比べて滑らかに見えないだろうか。これがSequatorの効果だ。

つづいてこちら。

撮影中のサークル仲間である。これはこれで悪くないが、夜空にはザラザラとしたノイズが目立ち、吹き荒れる風が雪を舞い上げている。地上と空の見分けがつきにくそうだ。

それでもSequatorはちゃんと合成してくれた。夜空はより滑らかになり、舞い上がる雪も自然に見える(若干、山火事のようにも見えるが……)。

決まりだ。これからの星景写真ではバリバリSequatorを使い倒そう!

星景写真の構図を練る。

ところで、ここ最近は星空だけでなく、星を眺めていたときの幸せな時間をうまく写真で表現できないか、画策している。そのためには星景写真の腕を上げなければならない。東京ではあまり練習できないので、今回は絶好の機会だ。

▲車があると「遠征に来た!」という雰囲気があるではないか。ちなみに写真ほぼ中央の薄緑色の星が、地球に接近していたウィルタネン彗星。東京だと必死になって撮影していたのに、清里では意識しないで撮ってあとで気付いた……。

▲「天文リフレクションズ」で紹介されていて興味を持った、長時間露光1枚撮り。パソコンでの合成に頼りがちだったけれど、自然に任せた撮影の方が落ち着いた雰囲気が出るのはなぜだろう? オリオン座がちょっと切れちゃったのが残念。

▲流星の電波観測用アンテナ。これは絵になる。けれど風で揺れるし構図は思ったよりも難しかった。

そんな具合で、ああでもない、こうでもないと、いろいろ試しているうちに、3つ持ってきた電池がすべて切れた。

最後の最後まで、まったく結露することがなかった。レンズヒーターすごい!

今回の遠征、上出来というわけでもなかったが、弾丸のわりに収穫は多かった気がする。

おまけ 「いい湯だな、あはっは~♪」

夜が明け撤収前。林の奥の空が橙色に染まって最高だったのだけれど、電池がなかったので撮影できず。うーむ、惜しいことした。

その後帰りに温泉に寄ったのだが、そこで度肝を抜かれることになった。

風呂に浸かりながら、少し霧に包まれた甲府盆地を一望するという贅沢。

遠くには富士山まで見えるのだ。絵ではない、正真正銘の生の富士である。

これぞまさしく温泉。こんなにも温泉らしい温泉が、この世に実在するとは。

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